尿の生成、糸球体濾過、尿細管再吸収

腎臓と尿
尿は、腎臓によってつくられる。つくられた尿は、腎盂を通行して尿管に送られる。そして、尿管の蠕動運動で膀胱(ぼうこう)まで運ばれる。

 

心拍出量のうち、約20~25%の血液を腎臓が受けている。そして、腎臓が受けている血流の量は、約800~1.200ミリリットル/分となっている。そして、約1ミリリットル/分の尿が生成される。

 

腎臓の組織の中には、糸球体と尿細管とが存在する。尿細管には、近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管に分類される。

 

また、糸球体と尿細管とをまとめて、ネフロンという。ネフロンは、腎臓の機能上の構造単位となっている。

 

尿の生成
腎臓には、糸球体機能尿細管機能の2つの機能がある。これらの腎臓の機能が、相互的かつ密接に作用することで、体液の恒常性が維持される。また、尿の生成が行われる。

 

尿の生成は、糸球体による濾過(ろか)、尿細管での再吸収尿細管からの分泌の3つによって行われる。

 

糸球体には、1分間に約1.000ミリリットルの血液が流れ込む。そのうち、約550ミリリットル/分は血漿である。

 

糸球体によって濾過(ろか)される血漿量は、毎分で腎の血液の血漿量の約20%となっている。それを量で表すと約110ミリリットル/分になる。

 

・糸球体濾過値(GFR)
1分間で左右の腎臓にある糸球体すべてから濾過(ろか)される尿量のことを、糸球体濾過値(GFR)という。

 

糸球体濾過値(GFR)は、1分あたり約100~120ミリリットル(約110ミリリットル=約0.11リットル)である。濾過される1日あたりの水の量は、0.11リットル(糸球体濾過値)×60×24=160リットルということになる。

 

 糸球体濾過
分子の電荷や分子のサイズによって、その分子が糸球体で濾過(ろか)されるかが決定する。また、負の電荷を持つ分子(物質)は、濾過されにくいものとなっている。

 

糸球体による濾過(ろか)では、血液に含まれる血球などは、分子が大きいため、通り抜けられない。糸球体による濾過で通り抜けられるのは、水、アミノ酸、グルコース、無機イオンなどの分子の小さなものに限られる。
分子のサイズが大きい血漿タンパク質は、毛細血管を通り抜けにくい。これにより、水分を糸球体毛細血管の方に引き込もうとする膠質浸透圧が作用する。

 

糸球体の毛細血管での血圧は、外に向けて濾液(ろえき)を出すように働く。一方、膠質浸透圧は、糸球体毛細血管の中に向けて、濾液を戻すように働く。この2つの圧の関係が、糸球体濾過に有効な作用となる。

 

・糸球体での異常
糖尿病や腎炎などの場合に、糸球体がもつ基底膜が粗くなることがある。すると、糸球体を通り抜けるタンパク質(アルブミン)の量が増加する場合がある。

 

 尿細管再吸収
毎分約110ミリリットルの濾液(ろえき)が、糸球体で発生する。発生した濾液は、尿細管へと送られる。

 

その濾液の99%以上が再吸収される。このとき、グルコースやナトリウムと一緒になって再吸収される。一方、残りの1%(1.5?)以下の濾液は尿となり、排泄される。

 

再吸収が行われる場合、糸球体毛細血管から尿細管に濾過されて、糸球体濾液(原尿)ができる。

 

糸球体濾液のうち、ナトリウムやグルコースなどの生体に必要となる物質が回収される。回収された物質は、尿細管の周りにある毛細血管の中に送られる。この作用のことを、尿細管再吸収という。