排尿の神経支配・メカニズム

こちらのページでは、「排尿の神経支配」と「排尿のメカニズム」について、それぞれ解説していく。

 

排尿の神経支配

排尿には、膀胱、内尿道括約筋、外尿道括約筋の3つが関係している。

 

膀胱は、副交感神経である骨盤神経によって収縮する。それによって、排尿が起こる。また、膀胱は、交感神経である下腹神経によってゆるむ(弛緩する)。

 

内尿道括約筋は、下腹神経によって収縮し、骨盤神経によってゆるむ。

 

外尿道括約筋は、体性神経である陰部神経によって支配されている。また、外尿道括約筋は横紋筋である。

 

外尿道括約筋の収縮と弛緩は、自分の意思で起こせるものである(随意的)。そのため、自分の意思で尿を我慢(がまん)できる。このことを尿禁制という。

 

骨盤神経、下腹神経、陰部神経は、それぞれ求心性線維と遠心性線維をもっている。

 

求心性線維の場合、神経インパルスが末梢から中枢神経系に送られる。また、遠心性線維の場合、神経インパルスが中枢神経系から末梢に送られる。

 

排尿のメカニズム

左右それぞれの尿管から膀胱に入った尿が、膀胱に溜め込まれることを蓄尿という。膀胱の容量が、蓄尿によって約400~500ミリリットルを超えた場合、急に膀胱内圧が高まってくる。それにより、排尿が起こる。

 

・尿意
約150~250ミリリットルの尿が、膀胱の中に溜まった場合、尿意を感じ始めるようになる。さらに、300~500ミリリットルの尿が膀胱の中に溜まった場合、尿意をより強く感じるようになる。

 

神経による蓄尿と排尿の調節

蓄尿と排尿も、神経によって調節されている。

 

膀胱に尿が溜まることで、膀胱が伸び広げられる(伸展される)。すると、膀胱が伸び広げられたことが、副交感神経である骨盤神経の求心線維によって、脊髄にある排尿中枢へと伝達される。

 

膀胱の容量がそれほど大きくない場合、交感神経である下腹神経が反射的に興奮を起こす。それによって、膀胱が弛緩し、内尿道括約筋が収縮を起こす。

 

これらのことから、膀胱の内圧は、蓄尿がある場合でもそれほど高くはならない。そして、排尿も起こらない。

 

また、大脳皮質にある感覚野にも、膀胱が伸び広げられたことが伝達される。それによって、尿意を感じる。

 

排尿が起こる仕組み

膀胱の内圧は、膀胱の中の尿量が約400~500ミリリットルを超えることで急激に上がる。それによって、強い尿意を感じる。膀胱内圧が上がったという情報は、脊髄を通行して脳幹にある排尿中枢へと伝達される。

 

脳幹の排尿中枢によって、骨盤神経が興奮され、膀胱が収縮を起こす。さらに、下腹神経が抑えられ、内尿道括約筋が弛緩する(ゆるむ)。

 

膀胱が伸び広げられたという情報は、大脳皮質にも伝達される。大脳皮質からの命令によって、陰部神経が抑えられる。その結果、外尿道括約筋が弛緩する(ゆるむ)。

 

上記のような形で、膀胱の収縮、内尿道括約筋の弛緩、外尿道括約筋の弛緩の3つが同時に起こる。そして、排尿が行われる。