肺がんの症状・組織型、転移性肺腫瘍

肺がん
肺がんの場合、初期の頃には症状が現れない。そして、がんの進行が一定のところまで進んだ場合に、症状が現れることが多い。このため、症状なかったとしても、定期的に肺がんの検診を受けることが大切である。

 

 肺がんの症状
肺がんの病変(がん化している部分)がある程度の大きさになってきた場合、痰(たん)、血痰(けったん)、咳(せき)といった症状が起こる。

 

ここからさらに肺がんが進行した場合、発熱、胸痛、手が痺れる(しびれる)、肩が痛むなどの症状が現れる。このとき、リンパ節の腫れが確認される場合がある。

 

 肺がんの治療
肺がんの治療法として、化学療法、手術、放射線治療などがあげられる。また、肺がんの進行具合や組織型によって、どの治療が適切かが変わる。

 

 肺がんの組織型
肺がんは、腺がん扁平上皮がん小細胞がん大細胞がんといった組織型に分けられる。

 

・腺がん
腺がんは、喫煙に関係しているとされる。女性が発病することが比較的多い。腺がんのうちの3分の2は、肺の末梢にてがんがつくられるものである。また、腺がんは、症状が現れないことが多い。

 

腺がんは、鉱物の粉塵を吸い込むことで起こる塵肺症の1種であるアスベスト症の場合の組織型であることが多い。

 

 ※アスベスト症については、「肺炎の種類と症状、塵肺症」のページで解説している。

 

・扁平上皮がん
扁平上皮がんは、喫煙に密接に関わっている。男性が発病することが多い。扁平上皮がんのうちの3分の1は、肺の末梢にてがんがつくられるである。そして残りの3分の2は、肺門部にてがんがつくられるものである。

 

扁平上皮がんでは、上皮小体ホルモンのような物質の分泌が起こり、それによって、高カルシウム血症を生じる恐れがある。また、腫瘍の中心部分が壊死を起こし、それによって空洞ができてしまうことが多い。

 

扁平上皮がんでは、細胞間橋角化のどちらか、もしくは両方が確認される。また、扁平上皮がんの組織の角化の度合いによって、低分化扁平上皮がん中分化扁平上皮がん高分化扁平上皮がんの3つに分類される。

 

・大細胞がん
大細胞がんは、未分化のがんである。そのため、腺上皮や扁平上皮へと分化しない。大細胞がんは、予後が良くない場合が多い。また、症状が進行する速度が速い。

 

・小細胞がん
小細胞がんは、肺の中枢の方で発生することが多い。小細胞がんにおける腫瘍細胞のサイズは、比較的小さめである。

 

小細胞がんの場合、腫瘍細胞全体の大部分が、核によって占められている。そして、細胞質が少なめである。小細胞がんの腫瘍細胞の核は、タンパク質とDNAとが結合してできているクロマチンを数多く含む。

 

小細胞がんの腫瘍細胞の場合、腫瘍細胞が紡錘形を示すことや、サイズが大きくなることがある。

 

小細胞がんでは、小細胞がんからホルモンのような物質の分泌が起こることで、腫瘍随伴症候群が引き起こされる場合がある。その主な例を以下に示す。

 

 ・小細胞がんからの抗利尿ホルモン(ADH)の分泌 → 低ナトリウム血症

 

 ・小細胞がんからのカルシトニンの分泌 → 低カルシウム血症

 

 ・小細胞がんからの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌 → クッシング症候群の症状の発生

 

小細胞がんは、予後が悪い場合が多い。また、血流を介して転移することが多い。

 

 

転移性肺腫瘍
体全体の静脈血は肺へと送られ、肺にある毛細血管を通っていく。このことから、肺では腫瘍の転位が起こりやすい。

 

それぞれの臓器におけるさまざまな悪性腫瘍は、血流を介して肺に送られ、肺で転移巣をつくる。このときつくられる転移巣は、一度に2か所以上つくられる場合が多い。