副甲状腺・副腎・膵島の構造とホルモンと疾患 − 健康と医療の情報局

 

副甲状腺・副腎・膵島の構造とホルモンと疾患

 

副甲状腺(上皮小体)

 

 副甲状腺(上皮小体)の構造
副甲状腺(上皮小体)は、米粒ほどの大きさの器官であり、甲状腺に4つほどくっ付いて存在する。副甲状腺で分泌されるホルモンは、パラトルモン(副甲状腺ホルモン)である。

 

 パラトルモン(副甲状腺ホルモン)
パラトルモン(副甲状腺ホルモン)は、血液中のリンとカルシウムの濃度のコントロールに関係するホルモンである。

 

・パラトルモンの分泌の抑制と亢進
カルシウムとマグネシウムのそれぞれの2価陽イオン(カルシウムであればCa2+、マグネシウムであれば、Mg2+)の濃度が上がると、パラトルモンの分泌が抑制される。

 

その反対に、カルシウムとマグネシウムの2価陽イオンの濃度が下がると、パラトルモンの分泌が亢進される。

 

・副甲状腺機能亢進症(上皮小体機能亢進症)
副甲状腺機能亢進症(上皮小体機能亢進症)では、血液に含まれるカルシウムの濃度が高まる。それにより、高カルシウム血症が引き起こされる。

 

高カルシウム血症を起こすと、不整脈や脱力感(体の力が抜けた感覚)といった症状が現れる。

 

・テタニー(強直)
血液に含まれるカルシウムイオンの濃度が薄くなった場合、テタニー(強直)が引き起こされる。

 

 

副腎

 

 副腎の構造
副腎のうち、内側の部分を副腎髄質という。外側の部分を副腎皮質という。

 

副腎皮質は3つの層に分かれている。副腎皮質の外側に近い層から順に、球状帯束状帯網状帯となっている。これらの層ごとに、違う働きが行われる。

 

副腎皮質の3つの層のうち、一番厚い層は束状帯である。束状帯は、下垂体前葉で分泌される副腎皮質刺激ホルモンによってコントロールされる。また、束状帯は、糖代謝ホルモンの生成に関係する場所でもある。

 

 カテコールアミン
副腎髄質にある褐色細胞から分泌されるホルモンには、アドレナリンノルアドレナリンがある。この2つのホルモンをまとめてカテコールアミンという。

 

カテコールアミンは血糖の調節に関係している。また、血圧を上げる働きをもっている。

 

 クッシング症候群
腺腫が副腎皮質や下垂体に生じると、糖代謝の調節に関わるホルモンである糖質コルチコイドの分泌が亢進される。これにより、クッシング症候群が引き起こされる。

 

クッシング症候群による変化は、腺腫を生じた場所によって異なる。

 

・副腎皮質に腺腫を生じた場合の変化
副腎皮質に腺腫が発生した場合、副腎皮質ホルモンの血中濃度が上がるが、副腎皮質刺激ホルモンの血中濃度は下がる

 

・下垂体に腺腫を生じた場合の変化
下垂体に腺腫が発生した場合、副腎皮質ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの両方の血中濃度が上がる

 

・クッシング症候群の症状
クッシング症候群を発病した場合、糖質コルチコイドの分泌が異常に多くなる。すると、糖質コルチコイドがもつさまざまな機能が、それぞれ亢進される。

 

上記により、高血圧症、肥満、糖尿病、満月様顔貌(まんげつようがんぼう)、にきび、筋力低下などの症状が現れる。

 

糖質コルチコイドの機能の亢進によって、肝臓で行われる糖新生が促される。すると、血糖値の上昇が起こり、糖尿病を発病する。

 

糖質コルチコイドの機能のうち、代謝に関する働きが亢進されることで、タンパク質の分解が促されて、体の筋組織が細くなってしまう。さらに、脂肪が沈着を起こす。これによる症状として、満月様顔貌、肥満などが引き起こされる。

 

・続発性クッシング症候群
副腎皮質ステロイドを長い間使用し続けた場合、クッシング症候群と同じような症状が引き起こされる。これを続発性クッシング症候群という。

 

 

 褐色細胞腫
副腎髄質に生じる腫瘍として、褐色細胞腫がある。褐色細胞腫は、良性腫瘍である場合が多い。悪性腫瘍である褐色細胞腫の場合、血行性転移などを起こす。

 

褐色細胞腫は、機能性腫瘍非機能性腫瘍とに分類される。

 

・機能性腫瘍である褐色細胞腫
機能性腫瘍である褐色細胞腫の場合、副腎髄質で分泌されるホルモンのカテコールアミン(アドレナリンとノルアドレナリン)の産生が異常に多くなる。

 

カテコールアミンが過剰につくられるために、末梢の血管が収縮を起こす。これにより、高血圧症を発病する。

 

・非機能性腫瘍である褐色細胞腫
非機能性腫瘍である褐色細胞腫の場合、カテコールアミン(アドレナリンとノルアドレナリン)の産生が起こらない。

 

 

膵島(ランゲルハンス島)
膵臓には、ホルモンの分泌が行われる場所である膵島(ランゲルハンス島)がある。膵島には、A細胞(α細胞)、B細胞(β細胞)などの細胞が存在する。それぞれの細胞ごとに異なるホルモンが分泌される。

 

膵島のA細胞(α細胞)では、グルカゴンの分泌が行われる。一方、膵島のB細胞(β細胞)では、インスリンの分泌が行われる。

 

・グルカゴン
グルカゴンは、グリコーゲンを分解して、血液にグルコースを送り出す働きがある。これにより、血糖が上がる。

 

・インスリン
インスリンは、グリコーゲンの分解を抑え、さらにグリコーゲンの合成を促す働きがある。これにより、血糖が下がる。B細胞から分泌されるインスリンの量が少ない場合、それが糖尿病を引き起こす原因となる。

 

 ※糖尿病については、「糖質代謝障害・疾患」のページで解説している。

 

 

 膵島腫瘍
膵島(ランゲルハンス島)から発生する腫瘍として、膵島腫瘍がある。膵島腫瘍の場合、良性腫瘍であることが多いとされる。膵島腫瘍には、インスリンが過剰に分泌されるものと、インスリンの分泌が起こらないものとが存在する。

 

・インスリノーマ
膵島腫瘍のうち、インスリンの分泌が過剰に起こるものをインスリノーマという。インスリノーマの場合、血糖を下げる働きをもつインスリンが過剰に分泌されることで、低血糖発作(インスリンショック)がくり返し引き起こされる。

 

・グルカゴノーマ
ランゲルハンス島のA細胞が腫瘍化し、増殖を行うものとしてグルカゴノーマがある。グルカゴノーマでは、グルカゴンの分泌が亢進される。これによって、高血糖の状態が引き起こされる。