尿細管での電解質・水の輸送、尿細管の分類・作用

こちらのページでは、「尿細管での電解質・水の輸送」と「尿細管の分類・作用」について、それぞれ解説していく。

 

尿細管での電解質・水の輸送

尿細管によって、糸球体濾液の再吸収が行われる。この場合、糸球体濾液に溶け込んでいる物質の輸送は、受動輸送能動輸送との2つで行われる。

 

受動輸送の場合、再吸収にはエネルギーを必要としない。受動輸送できるものには、水、尿素、塩素(Cl)などがあげられる。

 

能動輸送の場合、再吸収にはエネルギーが必要になる。能動輸送できるものには、ナトリウム(Na)、アミノ酸、リン酸塩、グルコースなどがあげられる。

 

また、能動輸送と受動輸送のよりくわしい内容については、「細胞膜、受動輸送、能動輸送」のページで解説している。

ナトリウムの再吸収・排出

人の1日あたりのナトリウム(Na)の摂取量と排出量とは、ほとんど同じ量である。

 

唾液、汗、消化液などからも、ナトリウム(Na)の排出は行われる。このとき、正常な状態であれば、ごくわずかな量である。そして、ナトリウムのほとんどは、腎臓から排出される。

 

糸球体で濾過されたナトリウムのうち、60〜70%が近位尿細管によって再吸収される。さらに、その先に続くヘンレループ遠位尿細管集合管でも、ナトリウムの再吸収が行われる。

 

1日あたり6〜12gのナトリウムが、尿へと排出される。また、尿に排出されるナトリウムの量は、糸球体濾液に含まれるすべてのナトリウムのうちの、約1%ほどである。

 

アルドステロンの分泌とその働き

 

レニン-アンジオテンシン系では、アンジオテンシンUというものが生成される。アンジオテンシンUによって、副腎皮質からアルドステロンが分泌される。

 

アルドステロンの分泌は、細胞外液量の調節に関係している。そして、アルドステロンによって、集合管で行われるナトリウムの再吸収が刺激を受ける。

 

酸塩基平衡、緩衝作用

H+(水素イオン)が代謝によって発生した場合に、細胞外液の酸塩基平衡を正常な範囲内に維持するには、腎臓から分泌される酸の量が、腎臓以外の場所でつくられる酸の量と同じ量になる必要がある。

 

上記に加えて、血液、細胞内液、細胞外液は、それぞれ緩衝作用をもっている。それらの緩衝作用によって、pHの調節が行われている。

 

生体がもつ緩衝作用には、重炭酸系(炭酸水素系)、リン酸系タンパク系がある。これらのなかで、とくに大切なのが重炭酸系である。

 

尿細管の分類・作用

尿細管は、近位尿細管→ヘンレループ→遠位尿細管→集合管の順に続いている。それぞれの作用について、解説していく。

近位尿細管の作用

再吸収が一番活発に行われる場所が、近位尿細管である。近位尿細管では、体にとって役立つ物質のうちのほとんどが再吸収される。

 

最初に、水とNa+(ナトリウムイオン)のうちの60〜70%が、それぞれ再吸収される。その次に、再吸収された水とNa+(ナトリウムイオン)とが、尿細管の中から尿細管の周りにある毛細血管の中へと送られる。

 

能動輸送によって、Na+が再吸収された場合、浸透圧を保つために水の受動輸送が行われる。

 

また、アミノ酸、小ペプチド、グルコースもほぼすべて再吸収される。さらに、K+(カリウムイオン)、HCO3-(炭酸水素イオン)も、ここで吸収されるものがほとんどである。

 

体にとって必要でない物質は、上記とは反対に、尿細管の中へと分泌されることになる。また、必要がない物質にあてはまるのは、尿酸や治療のために投与した抗生物質などである。

 

ヘンレループの作用

ヘンレループは下行脚と上行脚で構成されている。このうち、上行脚には細い部分と太い部分とがある。また、ヘンレループの下降脚と上行脚の先端部分は、それぞれUターンする形になっている。

 

ヘンレループのそれぞれの場所ごとに、異なる物質透過性がある。

 

ヘンレループでは、イオンの再吸収と尿の濃縮が行われる。糸球体濾液に含まれるNa+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、Cl-(塩素イオン)、HCO3-のうちの約10〜35%が、それぞれヘンレループで再吸収される。

 

また、間質液の浸透圧は、腎臓の皮質から髄質に向かうごとに上昇していく。そして、ヘンレループの先端部分の髄質の内層での浸透圧は、皮質での浸透圧の約4倍にもなる。この浸透圧の差のことを、皮質髄質浸透圧勾配という。

 

上記により、下行脚に進んでいくごとに、尿細管の中にある水のうちの約15%が再吸収される。その結果、浸透圧が高い高張の状態になる。

 

その一方で、上行脚に行くごとに、尿細管からNaCl(塩化ナトリウム)が失われる。その結果、浸透圧が低い低張の状態に戻る。そのため、遠位尿細管へと進むことになる。

 

遠位尿細管の作用

遠位尿細管がもつ機能のうち、主なものとして、「傍糸球体装置の生成」「イオンの再吸収と分泌」の2つがあげられる。

 

傍糸球体装置の生成

遠位尿細管は、同じネフロンの糸球体に触れて緻密斑を生成する。そして、糸球体にある輸入細動脈と一緒に傍糸球体装置を生成する。

 

傍糸球体装置は、ホルモンの1種であるレニンの分泌を行う。そして、レニン-アンジオテンシン系の作用で、体液量の調節や血圧の調節を行う。

 

イオンの再吸収と分泌

遠位尿細管では、Na+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、Cl-(塩素イオン)、HCO3-(炭酸水素イオン)の再吸収が行われる。

 

また、体内に多くのK+(カリウムイオン)がある場合には、K+(カリウムイオン)の分泌を行う。

 

集合管の作用

集合管は、電解質と水の調節と尿の濃縮の機能をもつ。

 

集合管では、Na+(ナトリウムイオン)、HCO3-(炭酸水素イオン)、尿素、水の再吸収が行われる。そして、H+(水素イオン)とK+(カリウムイオン)が集合管から分泌される。

 

上記のように、集合管で再吸収される物質や、集合管で分泌される物質は、特定のホルモンによる調節作用を受ける。そのホルモンと、その主要な働きについて以下に示す。

 

アルドステロン

アルドステロンは、Na+(ナトリウムイオン)の再吸収を促す。また、K+(カリウムイオン)の分泌を促す。

 

抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)

抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)は、水の再吸収を促す。また、皮質髄質浸透圧勾配と一緒に、尿を濃縮する。

 

ナトリウム利尿ホルモン

ナトリウム利尿ホルモンは、Na+(ナトリウムイオン)の再吸収を抑える。それによって、ナトリウムの排出が増える。

 

水の再吸収

細胞膜を自由に通り抜けられるものとして、水がある。細胞外液の浸透圧は、一定に保たれている。そのため、、体全体のNa+(ナトリウムイオン)の量によって、細胞外液の量がほぼ決まる。

 

尿細管で行われる水やNa+(ナトリウムイオン)の再吸収は、血漿が大量に糸球体で濾過されるものである。しかし、細胞外液の量は保たれている。

 

再吸収される水の割合

尿細管のそれぞれの場所で再吸収される水の大体の割合を、以下に示す。

  • 近位尿細管 : 約65%
  • ヘンレループ : 約15%
  • 遠位尿細管 : 約10〜15% 
  • 集合管 : 約5〜9%

再吸収されなかった残りの約1%の水は、尿として排出されることになる。